ライフサイエンス業界のビジネスコンサルティングを提供しているPivotal Scientific社(英国)から、バイオマーカーのグローバル市場についてのレポートが届きましたのでご紹介いたします。 

 

【2022年のバイオマーカー抗原抗体市場】
・世界的に、バイオマーカー市場は急速な成長を続けています。その背景には、個人化医療の需要の拡大や、慢性疾患の増加があります。バイオマーカー市場の複合年間成長率は、15%程度が見込まれていて、主要な市場は、「(1) がん、(2) 感染症、(3) 神経障害、(4) 免疫障害、(5) 心臓疾患、(6) その他」のセグメーションに分かれます。セグメンテーションに含まれるアプリケーションは、① 診断、② 薬剤探索、③ 個別化医療、④ 疾患リスク評価、⑤ 疾患モニタリングの5つです。

・2022年のバイオマーカー市場において最も大きなセグメントを占めたのは、がんに関するものでした(調査会社のGrand View Research社の調べによると、全体の36%以上)。これは、がんの疾患数が増大を続けていることによります。
その他のセグメントの中で注目するべきは、自己免疫に関する市場で、近年ますます重要性を増しています。世界人口の6-10%が、1つまたは2つの自己免疫疾患を抱えており、診断と治療を必要としています。また、持続的なモニタリングも求められています。

・バイオマーカーは、(1) 検証バイオマーカー、(2) 効果バイオマーカー、(3) 安全性バイオマーカー、の3つに分類されます。この中で最も大きなシェアを占めたのは、安全性バイオマーカーでした。安全性バイオマーカーは、医薬品や環境物質に暴露する前後に測定され、有害な影響としての毒性の可能性、存在、または程度を示すもので、売上の37%以上を占めています。
地域別に見ると、最も急速に成長したのはアジア太平洋地域でした。診断目的でのバイオマーカーの活用が増えてきていることや、慢性疾患の増加、政府のイニシアチブ、そしてゲノムやプロテオミクス関連のプロジェクトへの注目などが要因に挙げられます。

 

【技術面でのトピック】
・スループットのより高い免疫測定法が登場したことにより、実施された検査の数がさらに拡大しました。

・COVID-19の流行後、リコンビナント技術によるタンパク質やリコンビナント抗体を、アッセイキットの開発に活用する事例が増えています。今後数年の間に、リコンビナント抗体は市場の中でのシェアを伸ばしていくと考えられます。その理由は、欧州において今後の抗体製造に動物を用いないことが推奨されたことや、さらに特異性や親和性の高い抗体の需要が高まっていることが挙げられます。一方で、マウス以外のウサギ、ヒツジに由来するモノクローナル抗体製造は今後増えていくと予想されています。

・先進国における高齢者の増加や開発途上国における感染症の流行は、ポイントオブケア(POC)分野における開発の推進力となっています。装置の小型化やアッセイの高感度化を通じて、家庭で実施可能な迅速検査はまずます増えていくと思われます。また、デジタル技術による検査精度の改善もこの分野における注目するべきトピックの一つです。

 

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