ベリタスでは、世界中のサプライヤーネットワークを通じて、国内の診断薬メーカーの皆様に向けて高品質な抗体・抗原からヒト検体まで、幅広く取り扱っております。
今回は炎症関連マーカーの中から、IL-6・CRP・SAA・NGAL・PCT・Ferritin・SLO・Calprotectin・C3, C4 の抗体・抗原をご紹介いたします。
●IL-6
IL-6はサイトカインの一種で、臨床的には感染症や自己免疫疾患などで上昇し、全身の免疫応答を活性化させることが知られています。COVID-19において重症化の要因の一つとされる現象の「サイトカインストーム」では、体内で増加したIL-6によって過剰な免疫応答が引き起こされ、臓器障害を誘発すると考えられており、IL-6量の測定がCOVID-19の重症度判定に有用だと考えられています。
●CRP
CRP（C反応性蛋白）は体内で炎症や組織の破壊が起こると肝臓で生合成され、血中に増加するタンパク質です。IL-6（上記）が肝臓に作用してCRPの生合成を促進するとも考えられています。細菌感染症や膠原病、急性膵炎など様々な疾患の重症度を反映し、COVID-19の重症化マーカーの一つとしても厚生労働省「新型コロナウイルス感染症（COVID-19）診療の手引き」に記載されました。
●SAA (Serum Amyloid A)
SAAはアミロイド―シス、感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患、心筋梗塞などの炎症状態の鑑別に有用なマーカーです。SAAはCRPに比べて生理的濃度が高く、感度が高いため、CRPの上昇程度の低いウイルス感染症などの疾患でも測定の意義があると考えられています。
●NGAL
NGAL（Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin）はLipocalin-2としても知られる分泌型糖タンパク質で、急性腎障害(AKI)の早期診断、重症度などの検査に有用なマーカーです。腎障害時に腎で発現が増加し、血中や尿中において、AKIのマーカーの中でも早期に上昇することが知られています。
●PCT (プロカルシトニン)
PCTは細菌感染症、特に敗血症の診断・重症度診断に有用なマーカーです。PCTはカルシウム調節ホルモンであるカルシトニンの前駆物質であり、N末端、カルシトニン（CT）、カタカルシン（KC）の３領域を持っています。甲状腺のC細胞で生成され、カルシトニンに代謝されて分泌されますが、重症細菌感染症の場合には甲状腺外で産生されてPCTのまま血中に放出されます。
●Ferritin
フェリチンは内部に鉄を収容する巨大球状蛋白で、ほぼ全身に分布しています。悪性腫瘍、肝障害、心筋梗塞、感染症などではフェリチンの血中濃度が上昇することが知られており、原因は組織の破壊に伴った血中への逸脱だと考えられています。
●SLO（Streptolysin O）
ストレプトリジン-Oは、A群および一部のC群・G群溶血性連鎖球菌(溶連菌)の産生する溶血毒素です。溶連菌の感染が病因となる急性扁桃腺炎・猩紅熱や敗血症・急性糸球体腎炎・リウマチ熱などにおいて、患者血液の抗SLO抗体価（ASO）の測定をすることで溶連菌感染症の診断が可能です。
●Calprotectin
カルプロテクチンは好中球に存在するタンパク質です。腸管局所に炎症が生じると白血球が腸管壁を通じて腸管腔に移行するため、便中カルプロテクチン量の測定は腸管の炎症度の把握に有用です。また、下痢・腹痛などの症状が似ている、炎症のある「炎症性腸疾患」と、炎症のない「機能性腸疾患」の判別が可能です。
●C3・C4 （Compliment 3・Compliment 4）
補体（Compliment）は血清中に存在する、感染防御や炎症反応に抗体とともに関与するタンパク質の総称です。補体の活性化経路には抗原抗体反応により活性化される古典経路と、菌体成分やエンドトキシンにより活性化される副経路があります。
C3は古典経路と副経路の両方に関わる補体で、いずれの経路の活性化によっても消費されるのに対し、C4は古典経路で特に消費されます。C3・C4の測定は、どちらの経路が優位に活性化されているかを推測できるため、免疫系が関与する疾患や治療効果の判定に有用です。
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