弊社から提供可能な「体外診断薬原料向け 抗原・抗体」は、ヒトを対象にしたものに限りません。動物(ペット・家畜)を対象とした抗原・抗体もございます。
ここでは動物向け抗原・抗体を多数扱う「Meridian Life Science社」と「Immunology Consulting Laboratory(ICL)社」から、注目の製品をご紹介いたします。
下記以外の抗原・抗体をお探しの方は、弊社へお気軽にお問い合わせください。

 

【ペット動物】診断薬原料向け抗原・抗体

イヌプロカルシトニン モノクローナル抗体(新製品)

プロカルシトニン(PCT)は、敗血症(細菌性)の診断マーカーとしてヒト臨床現場において広く使われています。近年、敗血症を起こしたイヌでも血中プロカルシトニン濃度が高くなると報告されています(Goggs, et al. 2018)。

ICL社では、イヌプロカルシトニンを認識するマウスモノクローナル抗体を取扱開始いたしました。

製品 メーカーコード番号 アプリケーション
イヌプロカルシトニン マウスモノクローナル抗体, Clone # 2F4 MPCT-40A-2F4 EIA、WB

アプリケーション 凡例:
EIA:エンザイムイムノアッセイ、WB:ウェスタンブロット

 

ネコ白血病ウイルス モノクローナル抗体

ネコで注意したい感染症のひとつに、猫白血病ウイルス(Feline leukemia virus:FeLV)による感染症が挙げられるでしょう。FeLVはヒトに感染しませんが、ネコに対しては感染力が高いオンコウイルス属のレトロウイルスです。唾液や尿などを通して感染します。

感染初期にウイルスを体から排除できる場合もありますが、持続感染になった場合は感染後2~5年で悪性リンパ腫などの白血病や悪性貧血を発症します。FeLVの感染を防いだり、広げたりしないために、FeLV感染の有無を診断するキットが既に市販されていますが、さらに需要が高まる可能性もあります。

FeLV の検出には、カプシド領域であるp27を認識する抗体が広く用いられています。また、膜表面タンパクであるgp70を認識する抗体もございます。

Meridian Life Science社

製品 メーカーコード番号 アプリケーション
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 ヤギポリクローナル抗体 C01997G EIA、IFA、WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 マウスモノクローナル抗体 C01995M EIA、Pr、WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 マウスモノクローナル抗体 C01996M EIA、Pr、WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 ヤギポリクローナル抗体 B65221G WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 リコンビナントタンパク(大腸菌由来) R01776 EIA、WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) gp70 マウスモノクローナル抗体 C65712M EIA、IFA

ICL社

製品 メーカーコード番号 アプリケーション
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 マウスモノクローナル抗体, Clone # 8D11 MFLV-20M-8D11 EIA、WB
ネコ白血病ウイルス (FeLV) p27 マウスモノクローナル抗体, Clone # CM1 MFLV-20M-CM1 EIA、WB

アプリケーション 凡例:
EIA:エンザイムイムノアッセイ、IFA:蛍光免疫アッセイ、WB:ウェスタンブロット、Pr:ペア抗体有、LF:ラテラルフロー

 

ネコ シスタチンC モノクローナル抗体

ネコは「慢性腎疾患(CKD)」に罹りやすい動物です。慢性腎疾患は腎機能が長い年月をかけて徐々に低下することで起こります。特に高齢のネコで罹患率が高くなり、7歳以上の3~4割は罹患しているともいわれています。予防や治療方法は確立されておらず、早期発見により進行を遅らせることが重要です。近年、ヒトの慢性腎疾患マーカーでもある「シスタチンC(Cystatin C)」は、ネコの慢性腎疾患マーカーとしても注目されています。

Meridian Life Science社では、ネコシスタチンC マウスモノクローナル抗体(メーカーコード#H01431M)を取り扱っております。本製品をペア抗体として使用する場合はキャプチャー用抗体に向いており、検出用抗体は#H01303Mまたは#H86217Mをご検討ください。

製品 メーカーコード番号 アプリケーション
シスタチンC (ネコ、ウマ) マウスモノクローナル抗体 H01431M EIA、Pr
シスタチンC (ヒト、イヌ、ネコ、ウマ) マウスモノクローナル抗体 H01303M EIA、Pr
シスタチンC (ヒト) マウスモノクローナル抗体 H86217M EIA

アプリケーション 凡例:
EIA:エンザイムイムノアッセイ、Pr:ペア抗体有

 

 

【家畜動物】 診断薬原料向け抗原・抗体

アフリカ豚コレラウイルス モノクローナル抗体(新製品)

アフリカ豚コレラウイルス(ASFV)は、非常に伝染性・致死性が高いDNAウイルスです。感染した野生のイノシシやブタとの直接接触、汚染された飼料または感染したダニのかみ傷を通して伝染します。日本国内での感染報告例はありませんが(2019年7月現在)、世界中の養豚業界への大きな脅威となっています。

ASFV分離株は、急性疾患と高致死性(90-100%)を示す高病原性株から、類似しているがそれほど強くない症状を示す低病原性株まで病原性が多様で、さらに慢性化することがあるため診断が困難になります。ワクチンや治療法は2019年現在まだ確立されていません。

ASFVのゲノム構造は150以上の遺伝子発現の変化と、22種の遺伝子型(genotype)の存在が知られています。また、ASFV侵入に関与する最も抗原性の高い構造タンパク質として、感染後2〜4時間に発現するp30をはじめ、免疫原性ウイルス抗原が複数同定されています(Zhang, et al., 2017)。さらに低病原性株では、感染後数ヶ月経過してもウイルス放出およびウイルスに対する抗体が産生されると考えられています。ASFV抗原・抗体の同時検出により、感染拡大の要因になりうる潜在的で慢性的な感染状態が観察可能になることでしょう。

Meridian Life Science社では、ASFVのp30を認識するマウスモノクローナル抗体2点を取扱開始いたしました。

製品 メーカーコード番号 アプリケーション
アフリカ豚コレラウイルス p30 マウスモノクローナル抗体 C01881M EIA、IFA、IHC、WB
アフリカ豚コレラウイルス p30 マウスモノクローナル抗体 C01882M EIA、IFA、IHC、WB

アプリケーション 凡例:
EIA:エンザイムイムノアッセイ、IFA:蛍光免疫アッセイ、IHC:免疫組織染色、WB:ウェスタンブロット

 

本記事で紹介した製品に関するお問い合わせはこちら>>

 

 

関連リンク

Meridian Life Science社 動物向け 抗原・抗体 製品フライヤー

Meridian Life Science社 アフリカ豚コレラウイルス モノクローナル抗体 製品フライヤー

【Meridian Life Science社】抗原・抗体製品 有効期限について

Meridian Life Science社 メーカー情報

Immunology Consulting Laboratory(ICL)社 メーカー情報

Kingfisher Biotech社(動物サイトカイン・抗体・ELISAキット)取扱製品情報

 

 

参考資料

Goggs, et.al. Plasma procalcitonin concentrations are increased in dogs with sepsis. Vet Rec Open. 2018; 5(1): e000255.

Zhang, J. et al. Roles of African Swine Fever Virus structural proteins in viral infection. J. Vet Res. 2017; 61, 135-143.

アフリカ豚コレラについて(農林水産省ウェブサイト)